2020年12月6日日曜日

拝啓 酒の蔵から

久々のブログ投稿!

笹祝酒造では秋口に醸造祈願を行い2020年の酒造りが動き出しました。今期の特徴は何といっても原料米を「全量 新潟市産」に切り替えたこと。今までは兵庫県産の酒米「山田錦」など他県からも良い酒米を引っ張ってきていたのですが、笹祝酒造のストロングポイントである『地酒』という個性を活かすために、原料を段階的に切り替えてきました。


笹祝の洗米場。レトロな雰囲気。酒仕込みの主な作業は午前中に行いますが、この時間は外窓から光が差し込み、蔵の中でも一番明るい場所です。


蔵人 鈴木が洗米をしています。普通酒など大きいタンクで仕込むお酒は機械洗い、小仕込みになると機械と人力の折衷のような洗い方をします。



洗ったお米は水を吸わせた後に一晩寝かせ、翌日は「甑コシキ」とよばれる器具で蒸し上げます。酒造りのお米は「炊く」のではなく「蒸し」ます。こうするとより水分が少なく硬めにお米が上がります。「甑コシキ」で蒸した後はスコップで掘る掘る掘る!!




その先に登場するのが写真手前の放冷機。蒸しあがったばかりでアツアツのお米から熱を吸出し野外に放出します。熱いままのお米を仕込みタンクに投入していまうとお酒の温度があがり酵母に悪影響を与えてしまいます。その日の気温や水温、タンク内の温度によってお米を何度まで冷ますか決めます。ここでは杜氏の勘も発動しますよ!



酒造りでのお米の使い方は大きく分けて2種類。一つは蒸米としてそのまま投入するもの、もう一つは「麹コウジ」にするもの。「麹コウジ」とは蒸米にコウジカビと呼ばれるカビを繁殖させたものです。「麹コウジ」にはお米のデンプンを溶かして糖分に変える作用があります。日本酒のアルコールを生み出す酵母菌は糖分がエネルギー源です。酒造りには欠かせません。

雑菌汚染にとてもセンシティブな部屋なので蔵人以外の立ち入り禁止となっています。蔵人は上半身裸or白衣を着用して作業を行います。




さてこちらは醗酵タンクの中。大型のタンクに投入するお米は大量で、手運びにはとても難儀します。そこでエアシューターという機械を使って、空気の力でタンクまで蒸米をすっ飛ばします!

米を送るホースは写真のハシゴと金属でタンクの中に固定。ここから雨のように蒸米が降って、これを「櫂棒カイボウ」で均していきます。タンクの中で「水・麹・蒸米」が均等に混ざり合うまでひたすら突いたり回したり。これも中々重労働です。



「櫂棒カイボウ」はタンクの大きさや液体の状態によって使い分け。大きいタンク用のは人の背丈を越える長さです。




タンクの中に「水・麹・蒸米」が投入されて1日、まだ米の形が分かるくらい個体ですね。



7日目。高泡期といって酵母の泡が一番高くなるタイミング。この時に油断するとタンクから溢れます!蔵によって泡消し用の機械を使うとか、そもそも泡が上がりにくい酵母を使うとか対応方法が違いますが、笹祝の場合は泡傘と言われるジョイントをタンクに装着する事で溢れないようにします。

この数日後に最高温度に達しそうです。




醗酵中のお酒の状態を知るために「分析」という作業を行います。主に「酸度・日本酒度・アルコール度数」を調べるのですが、お米がドロドロにとけた お粥状態では数値を測る事が出来ません。そこで簡易的にお酒を絞る必要があります。

酒絞りといっても大層なものではなく、コーヒードリップの感覚で布で濾せばお酒を「液体と粕」に分ける事が出来ます。この液体部分を使って分析を行います。ついでに味見も。





笹祝の日本酒造りはこんな感じで進んでおります。しぼりたても、もうすぐ絞れますのでお楽しみに!!


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