2020年2月24日月曜日

生酛仕込みは温度管理に続く


酒母というか、もはや赤ちゃん


前回「生酛仕込みは水分管理に続く」の続きです!


酒母を造る上でもっとも重要なのは「衛生的で元気の良い酵母を多数培養する」こと。酒母の段階では酵母数が少なく、アルコール濃度も低い為に非常にデリケート。まさに生まれたての赤ちゃん状態です。通常の酒母は「乳酸」を添加して酸度を上げる事で清酒酵母以外の菌の淘汰をするのですが、生酛仕込だと一から乳酸菌を沸かせて酸度を上げていかなければならないので、さらに雑菌汚染の危険度は高くなります。

生酛でなおかつ綺麗な酒質の日本酒を造るには『硝酸還元菌→乳酸菌→清酒酵母菌』の菌リレーを一部のミスなくすすめなくてはなりません。

暖気操作とは




要は酒母を人為的に温める作業です。酒母タンクの中では糖化(麹が米を溶かして糖にかえる)と酵母増殖(酵母が糖分を食べて醗酵&増殖しアルコールを吐き出す)が同時に行われています。このバランスを失敗すると酸や苦味が浮いたり味が薄いといった不調和な日本酒に。。。。

良い酒母を造るには糖化と酵母増殖をバランスよく進めるに暖気操作が必要になります。


笹祝酒造では、それなりに仕込み量が多くかつ速醸酒母の時は「行火(あんか)」という方式で、生酛の時や極少量仕込みの時のように精密な温度操作が求められる時は「暖気樽(だきだる)」を使用した方式で暖気を採用してます。

「行火」はタンクの底にコタツのようなヒーターを設置して外から温めるやり方。「暖気樽」は中に湯を入れた容器を酒母の中に沈めて内から温めるやり方です。

暖気樽による暖気のやりかた①暖気樽(笹祝はチタン)にお湯を張る


温度がムラにならないよう等間隔で落とす



暖気樽方式って、とても手がかかる!




笹祝の酒母は生酛以外ほとんど行火式です。なぜならとても面倒だから。行火はスイッチon/offで簡単に温度を上げることが可能ですが、暖気樽で温度を上げるには①温度調節した湯を用意②樽を綺麗に洗浄し③一本一本タンクに挿入

温度を測る為に抜き出した後、目標に達していなければ①②③を再度繰り返し。樽を抜き差しする度雑菌を酒母の中に入れてしまうリスクを負いますし、樽にこびりついた物料分、量が欠減して損した気分になったり(笑)

それでも暖気樽で温度操作を行うのは生酛酒母が細かいコントロールが必要な、とてもデリケートな仕込み方だからです。温度2度上げて、そのあと1度下げてみたいな事を毎日行います。

行火操作は楽ですが、タンク底板面のみ熱くなる仕組みなので加熱が不均一だったり、逆にピンポイントなコントロールが出来ない為に、笹祝のような仕込み量での生酛には向きません。



暖気樽だからできる!技法集



暖気樽は中の温度を調整したり、本数を増やしたり細かいマニュアル操作が利きます。日本醸造教会のテキストに暖気樽の技法がいくつか載っていたので紹介します


①留暖気(とめだき)・・・酒母に挿入した樽を動かさないで置くこと。生酛の酒母は水分が少なく熱伝導が悪い為、樽周辺は熱くなるものの、全体の温度上昇はほとんどなく、酵母の増殖を抑えながら糖化のみが促進されます

②温湯留暖気(おんとうとめだき)・・・酵母の湧きが悪い時に行う手法。中温で糖化をおさえつつ、樽に触れている温度の高いエリアで集中的に酵母を増殖させる

③留廻し(とめまわし)
水気が少なくノリっぽい時に行う手法。当かを促進させるため樽を酒母タンクの中でぐるぐる廻す




うーむ、、、奥が深いな暖気樽。



☆「生酛仕込みは水の準備から始まる」はコチラ
https://sasaiwaishuzo.blogspot.com/2020/01/blog-post.html
☆「生酛仕込みは水分管理に続く」はコチラ
https://sasaiwaishuzo.blogspot.com/2020/01/blog-post_18.html





〇◇〇試飲営業〇◇〇

2月25日(火)10時~17時
2月26日(水)10時~17時
2月27日(木)10時~17時
2月28日(金)10時~17時
2月29日(土)9時~12時、13時~17時
3月1日(日)10時~12時、13時~17時

2020年2月11日火曜日

今年もやります!! 毎年お馴染みの笹祝 challenge brew

今年一発目の登場!?鈴木でございます。

皆様あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。本年も私のブログはこんな感じでやっていきます。(ちょいちょいdisられてますが)さてさてもうだいぶ浸透してきているんではないでしょうか。

      笹祝 challenge brew
詳しくはこちら
https://sasaiwaishuzo.blogspot.com/2019/07/challenge-brew_3.html

今年の秘蔵最新情報をちょっぴり公開しちゃいます。(ただしまだ作戦会議も進行中ですので変更になる場合もございます)

その名も

    にじゅんまい(仮称)



なんと西蒲4農家が作る4種のお米で醸したお酒です。

・酒母 五百万石(精米58%)岩室農協<岩室>

・添  亀の尾(精米58%)そら野テラス<>
・仲  コシヒカリ(精米65%)山田哲也<岩室>
・留  越淡麗(精米60%)鈴木哲<岩室>


あったようでなかった地元にこだわった4種の酒米を使った酒。発売は6月上旬を予定しています。なんせまだいろいろと計画段階なもので。。そしてまだお酒も醸造中です。今しばらくお待ちください。情報も小出ししていくかも  


メンバーと一丸となって醸しております。




☆「Challengebrew弐ノ巻」はコチラ
https://sasaiwaishuzo.blogspot.com/2018/01/challenge-brew.html

〇◇〇試飲営業〇◇〇

2月10日(月)10時~17時
2月11日(火)13時~17時
2月12日(水)10時~17時
2月13日(木)10時~17時
2月14日(金)10時~17時
2月15日(土)13時~17時
2月16日(日)13時~17時




2020年2月2日日曜日

スパイスと日本酒



商品が完成しました!詳しくはコチラ↓



日本酒専用スパイスを開発!




突然ですが笹祝酒造は今日本酒専用スパイスの開発に取り組んでいます。スパイスといえば唐辛子やコショウなど、お料理に使うイメージがありますが、、、なんとそれを日本酒に直接入れてしまおうという計画です♪

そこで今回はスパイスと日本酒のお話。生酛(きもと)の話は執筆カロリーが高いのでまた今度書きます。





そもそもスパイスとは?




スパイスは「香辛料」のうち茎と葉と花を除くものの総称。「香辛料」とは食品の調理のために用いる芳香性と刺激性を持った植物で語源はラテン語のSpices。香辛料の多くは、熱帯植物の種子、花、葉、樹皮等いろいろな部分が利用され、ヨーロッパその他の地域で古くから珍重されてきた。

ちなみに日本では「香辛料」のうち
☆茎と葉と花→ハーブ
☆それ以外 →スパイス
と呼ばれているそうです。

※全日本スパイス協会から編集し引用しました

※今回笹祝が日本酒と合わせる上でハーブの分類に含まれそうな香辛料もありますが、商品を英文にしたときにシンプルに伝わるよう、語源のSpicesそのままに「スパイス」と呼ばせていただきます。








なぜ日本酒にスパイスを?



昨年笹祝酒造の試験酒で「サササンデー」というお酒を仕込みました。カップに入った甘酸っぱくて低アルコールな日本酒で、お酒があまり強くない人でも可愛く飲めるように開発しました。

そのときの開発メンバーから「サササンデーはレモンを入れて飲むと美味しいかも」という金言があり試してみたところ、ちょっぴりとした苦みとレモンの酸味。さらに見た目の爽やかさと飲みやすさも加わり大好評の味わいでした。



サササンデーカップにレモンと青空!


思えば日本酒は基本的に無色透明。なので写真にしたときにワインやカクテルなんかと比べて、イマイチ映えない。地味。という弱点がありました(日本酒業界の人スミマセン。。。)

ここにカットレモンが一つ加わっただけで、とても可愛くなりますし味が変化するので楽しい!コ〇ナビールが世界中で親しまれているのも頷けますね。

しかしこれを商品にしたときに「どこかでカットレモンを仕入れてきて入れてください」と消費者にいうのも酷な話。まな板も包丁も使わずポンッと投入できるものを同梱できれば面白いなーと考えに考え。。。。。。

その結果、スパイスという最高の相方をみつけました!料理に彩りや刺激を与えてくれるスパイス。日本酒とタッグを組ませたら絶対に良くなるんじゃないかと!




日本酒に合うスパイスを探せ


そこで早速、日本酒専用スパイス研究を開始。三条スパイス研究所の熊倉シェフや一般テスターの方をお呼びして、古今東西のスパイスを集めて日本酒に投入!お料理との相性なども確かめてみました。

唐辛子、パクチー、スターアニス、クミン、コショウ、コリアンダー etcetc...合法的に手に入るものは全部試したと思います(誇張)








「和・洋・中」3種のスパイスミックスを準備中


見た目を彩る、味を変化させるだけではありません。スパイスはお料理との相性をつなげる接着剤としても活躍してくれます。

そこで今回は「和・洋・中」の3つのスパイスミックスのティーパックを開発。一つのスパイス袋にはテーマに沿ったスパイスが3種。つまり3×3=9種のスパイスを厳選して開発することに。

和食と味わうなら和のスパイスミックスと、洋食と味わうなら洋のスパイスミックスと、中華と味わうなら中のスパイスミックスとでお料理と日本酒を楽しめるように考えています♪



新生サササンデーと日本酒専用スパイス。おそらく春ごろには一つの商品としてカタチが出来上がりそうです。お楽しみに!!!



最近冬季の為か、土日午後の営業時間がヒマです。。。
たまに笹祝に遊びに来て話し相手になってください(笑)



〇◇〇試飲営業〇◇〇

2月2日(日)13時~17時
2月3日(月)10時~17時
2月4日(火)10時~17時
2月5日(水)10時~17時
2月6日(木)10時~17時
2月7日(金)10時~17時
2月8日(土)13時~17時
2月9日(日)13時~17時